昼休み。
教室のざわめきが、どこか遠くに感じる。
胸の奥が、ずっと落ち着かないまま。
「じゃ……行ってきますね」
小さくそう言うと、要さんは不満そうな顔をした。
「やっぱ俺もついて行く」
「だ、ダメです!……ちゃんとケジメつけてきますからっ」
要さんがはぁと短いため息をついた。
「……まさかあいつに告られてたとはな……」
「黙っててすみません……」
黙っていようと思ったけど、大我さんに返事しなきゃいけなかったし……
要さんに嘘はつきたくなかったから、一応報告はしたものの。
予想通りの反応で。
「……わかった」
「はい……大丈夫です!」
「……ちゃんと戻ってこいよ」
低く、静かにそう続けられて。
「はいっ」
思わず、強く頷いていた。
屋上へ続く階段の踊り場は、人の気配がなくて静かだった。
窓から差し込む光が、少しだけ眩しい。
「遅ぇよ」
低い声がして、視線を向ける。
大我さんが、壁にもたれるようにして立っていた。
その姿はいつもと変わらないはずなのに、どこか空気が違って見える。
「お待たせしました……」
ゆっくりと近づく。
足音が、やけに大きく響く気がした。
「で?この前俺が言ったこと……どー思った?」
「本気なんですか……?私の事……す、好きとか……」
「本気。返事考えてきたんだろ?」
逃げ場のない言い方だけど、急かすような圧はない。
ただ、まっすぐに待っている。
「……はい」
一度、息を吸う。
ちゃんと、伝えなきゃ。
言葉を選びながら、ゆっくりと口を開く。
「大我さんの気持ちは……嬉しかったです」



