完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

教室に入ると、空気が一気に変わった。

「え……」

「ちょっと……」

完全に注目されている。

そのまま席まで連れて行かれて、やっと手が離れた。

「じゃ、あとでな」

「はい……」

要さんが名残惜しそうに、自分の席へ向かう。

「はぁ……」

思わず肩の力が抜ける。

でもまだ、手の熱が残ったまま。

要さんの態度が今までと全然違くて戸惑う。

嬉しいけど、学校では恥ずかしすぎる。

私の事……本当に好きになってくれたんだよね……

その時だった。

ガタン、と椅子を引く音。

振り返ると、大我さんが自分の席に座った。

さっきまでいなかったけど……見られてた!?

どこまで……!?

その視線は、いつもよりずっと真っ直ぐで。

「……そういう感じ?」

「……っ」

空気が、一瞬で変わる。

大我さんの目が、要さんへ向いた。

要さんも、視線を逸らさない。

静かに、火花が散っているような……

「……花音」

大我さんに低く名前を呼ばれ、びくっとする。

「はいっ」

「あとで話ある」

「え……」

断る間もなく、視線が外れる。

でもその一瞬で分かった。

――逃がさないって顔。

「……」

どうしよう。

この前の返事も……ちゃんとしなきゃだよね。

要さんと、大我さん。

その間にいる自分。

……これから、どうなるんだろう。