完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「……ムカつく」

低く、ぽつりと。

「……」

「そこまで言うほど、あいつのこと信じてるわけだ」

「信じてるというか……大我さんも自分の親がやっていたことを深く反省されていて……情けないと言っていました……」

要さんは、短いため息をついた。

「……気に入らないな」

ぽつりと漏れる。

「え……?」

「お前がそこまで言う相手ってのが」

そのまま、ぐっと引き寄せられる。

「……でも、花音がそこまで言うなら……考えとく」

「ありがとうございます……!」

ほっとした瞬間……

「で」

声のトーンが変わる。

「一つ気になってたんだけど」

「え?」

じっと見下ろされる。


「いつの間に“大我さん”なんだよ」

「……え?」

「距離近すぎだろ」

「ち、近くないですっ!」

思わず言い返す。

「普通にお名前で呼んでるだけです!」

「……迅はまだ許す」

「え!?」

「でもあいつはダメだ」

「なんでですか!?」

「なんでもだ」

「理不尽です……!」

「理不尽でいい」

低く言い切られる。

「名前で呼ぶな」

「えぇっ!?」

思わず声が裏返る。