思わず顔を上げる。
でも次の瞬間にはもう、いつもの落ち着いた表情に戻っていた。
「大丈夫ですか、花音さん」
さっきの言葉、聞き間違い?
「は、はい……」
私は慌てて離れた。
でも……今、確かに聞こえた。
鈍臭いって言った……?
……言いましたよね!?
要さんは何事もなかったように、静かに言った。
「怪我をしたら、大変ですから」
「申し訳ございません……」
表情を見ると、やっぱり聞き間違いだったんだろうか。
要さんがあんなこと言うはずない。
「先程おっしゃっていた茶室ならありますので、いつでも使ってかまいません」
「あっありがとうございます!」
「花音さんの点てたお茶、一度いただいてみたいですね」
「ぜひ……」
そう言ってから、少しだけ恥ずかしくなって視線を落とす。
要さんはそんな私を見て、ふっと小さく笑った。



