完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~



「……じゃあ俺は?」

低く、抑えた声。

「……え?」

思わず聞き返すと、要さんの眉がわずかに寄った。

「他の男は信じるのに」

一歩、近づく。

「俺のことは、何も思わないのか」

「……っ」

胸が、大きく跳ねる。

「俺が他の女のそばにいようが、平気そうに見えたけど」

「そんな……っ」

思わず声が出る。

「平気なわけ……ないじゃないですか……」

空気が、ぴたりと止まる。

自分でも驚くくらい、強い声だった。

「……っ」

喉が震えるけど、止められない。

「志乃さんのこと、大事なのは分かってます……昔から知ってて、安心できる存在で……それも分かってます……」

ぎゅっと拳を握る。

「でも……っ」

視線を上げる。

「要さんが、あんな風に他の人に優しくするのは……見てて……苦しいです……」

一瞬、沈黙が落ちる。

要さんは私の目の前に来ると、屈んで目線を合わせた。

その行為に心臓が揺れた。

「……なんで」

「えっ!?」

「なんで、そんな風に思う?」

「な、なんでって……」

返答に困っていると、要さんが小さく息を吐いた。

「それ、俺もなんだよな」

「……え?」

「早乙女といた時」

視線が、真っ直ぐ刺さる。

「あの距離で、手掴まれて……正直、ぶん殴りたくなった」

「……っ」

「何であんな簡単に触らせてんだよって思ったし」