――Side Kanon
数日が過ぎた。
志乃さんは徐々に回復していると聞いた。
それを聞いて、ほっとしたはずなのに……
胸の奥は、どこか落ち着かないままだった。
学校では、大我さんの態度が変わった。
あれだけちょっかいを出してきていたのに、今はほとんど話しかけてこない。
視線は感じるのに、距離を取られている気がする。
……あの日の言葉のせいだ。
『俺さ……お前のこと、好きになった』
思い出すたびに、胸がざわつく。
本気、だったのかな……。
そんなことを考えてしまう自分に、少し戸惑う。
その時だった。
コンコン、と部屋の扉がノックされる。
「花音さん、少しいいですか」
聞き慣れた声に、心臓が跳ねた。
「は、はい!」
扉が開いて、要さんが入ってくる。
「急に悪いな」
「いえ……」
この前のことがあってから、ちゃんと顔を合わせられないでいる。
「志乃のことだが……今日退院したらしい」
「……そうなんですね、よかった……」
ほっと息を吐くと、要さんが一瞬だけこちらを見る。
「花音さんが気にしていたから、すぐ報告しようと思って」
それだけなのに、胸がどくんと鳴る。
少し迷ってから、口を開いた。
「志乃さんのところへは……行かれないんですか?」



