「混入されていた、神経系に作用する薬物ですが……市販では流通していないルートのものかと」
Nが続ける。
「やっぱ……アルティウスが絡んでそうだな、あいつらの動きを見るとやっていても不思議じゃない」
自然と、その名前が出る。
二人が視線を交わした。
「可能性は高いですね」
「ほぼ黒だろ?」
Nが肩をすくめる。
「ただ……妙なんです」
Fが、少しだけ間を置いた。
「狙いが不自然です」
「……ああ」
俺も同じことを考えていた。
「本来のターゲットではなかった可能性があります」
その言葉に、頭の中に浮かぶのは、一人だけ。
「……俺の婚約者、か」
ぽつりと漏れる。
空気が、静かに変わる。
「その可能性は否定できません」
「むしろ自然だな」
Nが言う。
「獅堂家の婚約者。狙う理由としては十分だ」
「……」
心臓が嫌な音を立てる。
あいつが、狙われていた……



