完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

淡々と。

「ですが、あの方が傷つくことを看過するつもりはございません」

「……」

胸の奥がざわつく。

気に入らない。

その言い方も、その目も。

「……調子に乗んなよ」

低く吐き捨てる。

「誰に向かって言ってんのか分かってるのか」

「承知しております」

迅にこんな言い方したいわけじゃない。

だが、一歩も引かない迅を見て、自分も後に引けなかった。

「それでも申し上げております」

沈黙が落ちる。

重たい空気。

「……くだらねぇ」

そう言いながら、俺は部屋を出た。

だが――

頭の中はぐちゃぐちゃだった。

早乙女と、二人で出かけた?

あの距離で。

また触られていたんじゃねーだろうな?

「……っ」

無意識に拳に力が入る。

「……何やってんだよ、俺は」

小さく吐き出す。

あいつに触られるのは嫌で。

自分が他の女のそばにいるのは、何とも思われてなくて。

迅に同じだと言われて、腹が立って。

――意味が分からない。

「……」

ただ一つだけ。

はっきりしていることがあった。

「……あいつは、俺の婚約者だろ」

低く呟く。

そして――

昨日の紅茶に混入された薬物。

俺はアルティウスの仕業だとみている。

だとしたら……早乙女はそれを知っていたのか?

知った上で花音を誘っているとしたら……危険すぎる。