……帰りの送迎車の中で、さっき志乃に言われたことを考えた。
最近やけにイライラすることが増えた。
その理由は、分かっている。
――早乙女大我。
花音の手を掴んでいた、あの男。
思い出した瞬間、奥歯が軋んだ。
ただ話していただけじゃない。
あの距離、あの触れ方……
自分でも驚くくらい、苛立っていた。
最近、妙なんだ。
花音が他の男と話しているだけで、目につく。
気にする必要なんてないはずなのに。
なのにこの前は……違った。
眉を寄せる。
「……キスとか、何やってんだ俺は」
あの場面を思い出す。
花音が早乙女に何か言われて、反発して。
その顔を見た瞬間、無償にイラついて……
気づいたら、引き寄せていた。
「……」
唇に触れた感触を思い出す。
「……は」
小さく笑う。
「ガキかよ」
婚約者だ。
だから気になるだけであって。
問題ない。
そう言い聞かせる。
でも……それだけか?
「……取られたくねぇ、とか」
ぽつりと零れる。
「思ってんのか……俺は」
そんな性格じゃない。
誰かに執着するなんて、らしくない。



