完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

その横顔は、いつもよりずっと硬くて。

「……あの」

「足元、気をつけてください」

被せるように言われて、言葉が止まる。

声は丁寧なのに、どこか余裕がない。

いつもの迅さんじゃない……

そう思った瞬間、少しだけ胸がざわついた。

ゲーセンを出ると、黒い車がすでに待っていた。

扉が開かれ、当然のように中へ促される。

「どうぞ」

「……はい」

静かに頷いて、車に乗り込む。

そのあとに、迅さんも隣へ座った。

扉が閉まり、ゆっくりと車が動き出す。

沈黙が、重い……

「……あの、迅さん」

意を決して口を開く。

「さっきは……ありがとうございました」

「……いえ」

「どうして場所わかったんですか……?」

「花音様が電話に出られなかったので、位置情報を確認させていただきました」

「なるほど……」

それだけで、会話が終わりそうになる。

でも……どうしても、聞きたかった。

「……怒って、ますか?」

その一言に。

ほんの一瞬だけ、空気が揺れた。

「……いいえ」

すぐに返ってきたけど……

「……少しだけ、ですが」

ぽつりと、続けられた。