大我さんは、しばらく何も言わず、ただじっと私を見ている。
さっきまでとは違う、逃げ場のない視線。
ど、どうしたら……
「……花音」
名前を呼ばれて、胸が跳ねる。
「は、はい!?」
「お前さ」
少しだけ、困ったように笑う。
「ほんと……なんなんだよ」
「え……?」
「こんな話聞かされて、うちが黒だって分かってて」
「……」
「それでも、そんな顔で見てくるとか」
視線が、外せない。
「普通……無理だろ」
ぽつりと。
「……え?」
次の瞬間。
ぐっと、手首を掴まれた。
「……っ」
さっきとは違う。
強引なのに、どこか迷いがある力。
「離す気、なくなる」
「えっ……」
心臓が、一気にうるさくなる。
「お前、俺のこと信じるって言ったよな」
「は、はい……」
「だったら……」
一歩、距離が縮まる。
「もう少し、こっち見ろよ」
近い……
近すぎて、息がかかる。
「……っ」
逃げたいのに、動けない。
「俺さ……お前のこと、好きになったわ」
「……え」
思考が、止まる。
「最初はただ面白ぇやつだと思ってた」
「……」
「でも今は違う」
視線が、まっすぐ刺さる。
「見ててイラつくし、ムカつくくらい真っ直ぐで」
少しだけ、笑う。
「放っとけねぇ」



