完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「でも手違いで、あの時志乃が飲んだ」

拳が、強く握られる。

「……だから、ああなった」

「どうして……」

「獅堂家への牽制だろ」

吐き捨てるように言う。

「御曹司の大事な婚約者に手ぇ出せば、どうなるかってな」

「……」

「で、その実行役が――」

一瞬だけ言葉を切る。

「うちの人間だった」

「そんな……」

「怪しい動きがあったから、側近に無理やり吐かせたんだよ」

「……」

「親父への忠誠心がすごくて、最初は口割らなかったけどな」

視線を落とす。

「でも……親父の指示でやってた」

その一言が、重く落ちた。

「……っ」

胸が、ぎゅっと締めつけられる。

「情けねぇよな、そんなやり方で勝とうとしてるとか」

ふっと笑ったけど、その笑いは全然楽しそうじゃなくて。

「……俺さ」

ぽつりと続ける。

「親父のこと、ずっとすげぇって思ってたんだよ」

少しだけ、遠くを見るような目。

「じーさんの代より業績もアップして、頭もキレるし」

「……」

「だから、信じてた」