完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

詳しいことは、まだ分かっていない。

ただ……

「何かの薬物が混入されていた可能性があります」

と、先生が朝のホームルームで話していた。

原因も、犯人も、まだ不明。

でも……ざわざわとした空気の中で、ひとつだけはっきりしていることがあった。


「……早乙女さん、まだ来てませんわね」

「警察に呼ばれてるって聞きましたが……」

「やっぱり関係あるんじゃ……?」

その名前が出た瞬間、胸がざわつく。

「だって、あの時志乃様をエスコートされていて……」

「紅茶を淹れたのは早乙女さんですものね!?」

違う……

そんなはず、ないのに。

でも、教室の空気はもう完全に疑いの方向に傾いていた。

ガラッと扉が開く音がして、一斉に視線が向く。

そこに立っていたのは……


「……遅れてすみませーん」


いつもと変わらない声。

でも、どこか空気が違う。

大我さんが、けだるそうに教室に入った。

ざわめきが、一瞬で強くなる。


「やっぱり呼ばれてたのでしょうか……」

「早乙女さんのご両親って確かアルティウスの……」

「えっ、以前問題起こしたりしてましたわよね」