完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

大我さんの目が、わずかに細くなる。

「今は、助けなきゃいけない人がいるだけです」

胸の奥は、まだ苦しい。

それでも……まっすぐ、見上げる。

「それとこれとは別だって……私はちゃんと分かってます」

一瞬、沈黙が落ちた。

「どうやったら……そんなに信じられんだよ」

大我さんが、小さく笑う。

その視線は、さっきまでと少しだけ違っていた。


ざわついていた会場に、慌ただしい足音が響く。

「皆様、落ち着いてください」

教師の声が、静かに場を制した。

一斉に視線が集まる。

「本日の交流会は、これ以上の進行が難しいと判断し、中止といたします」

「……え」

小さく声が漏れる。

「体調不良の生徒が出たため、安全を最優先とさせていただきます」

周囲が一気にざわめき出す。


「中止……?」

「そんな……せっかく準備してきたのに……」

「でも志乃様の体調も気になりますわね……」


困惑の声が広がる中で、私はただその場に立ち尽くしていた。

胸の奥が、ずっと落ち着かない。

志乃さんの青ざめた顔。

要さんが迷いなく手を伸ばした瞬間。

そして……

そのまま連れていった背中。

「……」

ぎゅっと、胸元を押さえる。