完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「……なにその顔」

横から、低い声。

はっとして振り向くと、大我さんがこちらを見ていた。

「え……?」

「心配してる顔とさ」

少しだけ覗き込まれる。

「……嫉妬してる顔、両方出てる」

「……っ」

「図星だろ?」

大我さんの口元が、わずかに歪んでいる。

逃げ場がないみたいに、視線が絡みついた。

「婚約者が他の女、あんな風に連れてったら……普通、面白くねぇよな」

「違いますっ……」

すぐに、否定する。

でも……

「違わねぇだろ」

かぶせるように、言われる。

「“志乃だから”だろ?」

「……え」

「相手があいつじゃなかったら、ここまで顔に出てねぇよ」

心臓が、大きく跳ねる。

「完璧で、昔から知ってて」

淡々と、突き刺すように。

「どう考えても、自分より“上”だって思ってる相手に」

「……っ」

何も言えない。

全部、見透かされてるみたいで。

「だから余計に、だろ?」

逃げたくなる。

どうしてこの人はこんなに深く、傷をえぐってくるんだろう。

「いえ……要さんはそういう人じゃありません」