完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


ティータイムが始まり、会場は一層華やいだ空気に包まれていた。

白いクロスの上に並ぶオシャレなティーカップ。

色とりどりのお菓子たちからは、いい香りが漂う。

私は要さんの隣で、まだ少しだけ緊張しながら背筋を伸ばしていた。

「……花音さん、表情が硬い」

小さく落ちてきた声に、はっとする。

「え、あ……すみません」

要さんは自然な動きでカップを手に取った。

その仕草一つ一つが、無駄がなくて綺麗で。

思わず見惚れてしまう。

――これが、“エスコート”。

そして向かい側で、大我さんも同じく綺麗な仕草で紅茶を入れていく。

普段あんな口調や態度でも、やっぱりお坊ちゃま育ちなんだなぁ……

悔しいけど、そこは認める。

大我さんが入れた紅茶を、志乃さんが飲もうとしていた。

優雅な所作で、一口。

「……」

ほんの一瞬だけ。

その手が、止まった。

「……どうかしたか?」

要さんが、すぐに気づく。

「いえ……少し、香りが……」

志乃さんが微笑む。

でも――

次の瞬間。

「……っ」

かすかに息を詰めた。

カップを持つ指先が、わずかに震える。

「志乃?」

「……ごめんなさい、少し……」

顔色が、目に見えて青くなっていく。

「おい」

要さんの声が、低く変わる。

そのまま立ち上がり、志乃さんの方へ駆け寄った。