その時、向かい側に人影が差した。
「随分余裕じゃん」
大我さんだった。
その隣には……志乃さん。
「ご一緒させていただくわね」
優雅に微笑みながら、席に着く。
「花音さん、楽しんでる?」
「は、はい……」
「そう、よかった。今日は私のおすすめの紅茶も差し入れしたから、是非飲んでみてほしいの」
にこり、と笑う。
「はい……」
でもその目は、ほんの少しだけ何かを見ているようで。
「エスコートも、上手くいってるみたいね」
その言葉に、一瞬だけ空気が揺れる。
「俺もちゃんとエスコートしてただろ?」
大我さんが、わざとらしく言う。
「ええ、問題なかったわ」
さらりと答える志乃さん。
「じゃあさ」
大我さんが、楽しそうに笑う。
「どっちが“ちゃんとしてるか”、見てみる?」
「……ちゃんとしてるか、とは?」
要さんが静かに返す。
「簡単だろ」
椅子にもたれながら。
「こういう場でのエスコート、どっちが上かって話」
「……くだらない」
「おもしれぇだろ?」
くだらないと言いながら、要さんの視線はわずかに鋭くなっていた。



