完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

何も言い返せなくて、視線を逸らした。

その時、会場の入り口が、ふっとざわめいた。

「志乃様がいらっしゃいましたわっ」

近くの女子生徒が言うと、視線が一斉にそちらへ向く。

この学校の卒業生である志乃さんは、みんなの憧れだ。

今日は来賓でいらっしゃったのだ。

落ち着いた色のドレスに身を包み、ゆっくりと歩いてくる。

姿勢、仕草、微笑み。

どれもが洗練されていて。

同じ空間にいるだけで、空気が整うみたいだった。

「すごい……」

思わず、小さく呟く。

隣で大我さんが、ふっと鼻で笑った。

「世界違うだろ」

「……」

否定、できない。

その時、再び入口付近で今度は黄色い声が飛び交った。

見るとスーツ姿の要さんが立っていた。

わぁ……背も高いしスタイル良いからなんでも着こなしちゃうんだな……

視線が合うと、そのままこちらに歩いてきた。


「花音さん」

「は、はい!」

周りの生徒たちが私達の様子を見守る。

最近学校で要さんと話すと、こんな風に注目されることが多いから話しづらい。

「その服、よくお似合いです」

にこっと微笑まれながら言われた。

でもそれは、どこか外行の顔で。