完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


でもこれからずっと付き合っていくであろう人たちだし、私が話しやすいようにしたい。

自分の屋敷でも、年上の使用人には敬語で話していた。

両親に注意はされていたが、それだけは頑固にやめなかった。


その後、敷地内を案内されたけど、迷路のようで一回じゃ覚えきれない。

部屋も広く品があり、まるでホテルみたいだった。


「何かご不便がありましたら、遠慮なく仰ってください」


峰山さんは終始落ち着いていて、
でも目だけは、常に周囲を見ている。

この人は……
獅堂様を守る人なんだ。


案内が一通り終わった頃、


「……少し、お時間よろしいでしょうか?」


聞こえた声に、振り向く。

そこに立っていたのは、獅堂様だった。


「九条さん、緊張されていますよね」


そう言って、静かに近づいてくる。


「慣れるまでは、無理をなさらないでください」


優しい。
完璧。

……なのに。

「それと――」

一瞬だけ。

声が、少し低くなった。


「私の部屋には絶対に入らないでください」


その言い方が、
どこか命令口調に聞こえて。

はっとする。

獅堂様はすぐに表情を整え、微笑んだ。


「いえ……色々大事な書類もありますので」