完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


軽い口調なのに……刺さる。

「……っ」

言い返せない。

あの時の二人の姿が、頭に浮かんでしまう。

「お前、それでいいの?」

「……え?」


顔を上げた、その瞬間。

「花音さん」

低い声が、空気を切った。

次の瞬間、要さんが大我さんから私を引き離してくれた。

「か、要さんっ」

顔を上げると、要さんは大我さんを睨んでいた。

その表情は……思わず息を呑むほど、鋭かった。

背筋が凍るくらい。

みんなから死角だったから、騒がなければ気付かれない。

だからか、要さんは何も言わないままだった。

「あー、バレちゃった?」

「お前……自分が何してるかわかってんのか?」

「そりゃもちろん」

笑顔でそう答える大我さんが怖かった。

「……次は、タダじゃすまない」

そう言って、私の手首を掴み教室の外へと連れ出される。


廊下に出た瞬間、空気が一気に変わった。

さっきまでのざわめきが嘘みたいに静かで。

誰もいないその場所で、要さんが、ぴたりと足を止めた。

「……あいつのいいようにさせるな」

振り返ったその表情は、さっきよりもずっと険しかった。

「え……?」

「腕、掴まれてただろ」

「それは……」

言葉に詰まる。