完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「……花音さんが思ってるような、綺麗な思い出じゃないから」

「……」

「巻き込んで悪かった」

自嘲するように、少しだけ笑う。

胸が、苦しくなる。

「……そんなこと、ないです」

はっきりと、言葉にする。

要さんが、少しだけ目を見開く。

「私は……助けてもらいました」

スカーフを、ぎゅっと握りしめる。

「あの時、すごく怖かったけど……要さんがいたから平気でした……」

声が、少し震える。

要さんが、わずかに息を呑んだ。

「あっそうだ……」

胸元にあったネックレスから、そっと指輪を取り出す。

ずっと、大事にしてきたもの。

まさか持ち主が、こんな身近にいたなんて。

「これ……お返しします」

手のひらに乗せて、差し出す。

「要さんの、大切なものなんじゃないですか?」

要さんの視線が、指輪に落ちる。

少しの沈黙の後……

「……いい」

短く言った。

「え……?」

顔を上げる。

「これは花音さんに持っていてほしい」

「で、でも……」

言葉が、出ない。

大事な物なんじゃないのかな……