「……違います」
首を、ゆっくりと振る。
「これ……私のです」
ぎゅっと、スカーフを握りしめる。
「二年前……お祭りの日に……」
要さんが、こちらをまっすぐ見ていた。
その目はいつもより、少しだけ強くて。
「……あの時の、男の子」
止められない。
胸の奥から、溢れてくる。
「……要さん、だったんですよね……?」
要さんが、小さく息を吐いた。
「……気づくなよ」
ぽつりと、零れるような声。
それが、答えだった。
「やっぱり……」
信じられなくて、胸がぎゅっと締めつけられる。
あの時のことが、一気に蘇る。
血のついた手、痛そうな顔。
それでも、優しく笑ってくれたこと。
「なんで何も言ってくれなかったんですか……?」
「……」
「私……この話、しましたよね……?」
声が、かすれる。
要さんは、少しだけ視線を逸らした。
「別に……言う必要がなかった」
「でも……!」
思わず、一歩近づく。
「私、ずっと探してて……!」
「だからだよ」
ぴたり、と言葉が止まる。
「……あの日の少年が俺だと、知らないままの方がいいと思ってた」
「どうして……」



