完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「……それで」

フォークを置いて、少しだけ顎で机の方を示す。

「簡単にまとめておいた」

「……え?」

「よく間違えてるところ中心に。これやっとけばテストは高得点だろ」

一瞬、言葉の意味が理解できなくて。

「……え、あの……」

顔を上げる。

「そこの引き出しに入ってるから」

当たり前のように言われて。

ぶっきらぼうな言い方なのに。

その優しさが、ちゃんと伝わってくる。

「……はいっ」

小さく頷いて、机の方へと足を向けた。

机の前に立ち、そっと引き出しに手をかける。

「……失礼します」

小さく呟いて、ゆっくりと引き出しを開けた。

中には、整然とまとめられたノートと紙。

「あっ」

突然、要さんが何かに気付いたように立ち上がる。

でもその時、見えてしまった。

引き出しの奥に――

「……え?」

視線が、止まる。

淡い色の、見覚えのある布。

指先が、無意識にそれに触れていた。

震える手で、そっと引き出す。

見間違えるはずがない。

あの日……花火の光の中で、私が巻いたスカーフ。


「これ……」

声が、震える。

「どうして……要さんが?」

一瞬の、沈黙。

空気が、ぴんと張り詰める。

「……ただのスカーフだろ」

低く、落ち着いた声。

でも――

どこか、わずかに硬い。