「……それが花音さんの良いところだろ」
「え……」
予想外の言葉に驚きを隠せない。
「志乃に聞いたんだろ?ミートパイのこと」
「あ、はい……」
要さんは、もう一口食べながら、ふと視線を上げた。
「母のミートパイも好きだったけど、これも好きだ」
自分の事を言われたわけでもないのに〝好き〟という言葉にドキッとしてしまった。
「玉ねぎや人参がでかくて食べごたえがあるからな」
「え!……もうっ!」
身を乗り出すと、再び要さんが笑った。
その度に胸の高鳴りが鳴り止まない。
私……本当に、要さんが好きなんだ。
「そういえば語学のテストどうだったんだ?」
「あ……65点でした……」
最近色んなことがありすぎて、せっかく教えてもらったのにイマイチな点数だった。
「フランス語苦手だったもんな、学校の課題でもつまづいてたろ」
「えっ……?」
思わず目を見開く。
「授業中、止まってたし」
「み、見てたんですか……?」
恥ずかしくて俯いてしまう。
「……見てれば分かる」
何でもないことのように言われて、胸がどきんと鳴る。



