完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


要さんが一瞬だけ目を細めた。

「……これは?」

「はい……その……ミートパイです」

「ミートパイ?」

「志乃さんから、お好きだと聞いて……」

少しだけ言いにくそうにすると、要さんの表情がわずかに動く。

「……あいつが」

ぽつりと呟く声は、どこか複雑そうで。

「しつこいかなと思ったんですが……今日は一人で作ってみました」

心臓がうるさいけど、恐る恐る聞いてみた。

「……食べて、いただけますか?」

「……昨日俺があんな風に断ってんのに、また作ってくるとか」

「め、迷惑ですよね……」

やっぱりダメだった。

俯いた顔を上げられない。

「……迷惑じゃない」

「え……」

「今食べてもいいか?」

思わぬ返事に、戸惑う。

「もち、ろんです!」

胸が、じんわりと温かくなる。

机の上に置かれた皿に移し、フォークを渡す。

要さんは少しだけそれを見てから、一口食べた。

「……どうですか?」

思わず身を乗り出してしまう。

「……」

一瞬の沈黙。

やがて、ゆっくりと口を開いた。

「……うまい」

胸がきゅっとなる。

「……っ!」

顔が一気に熱くなる。

「ほ、本当ですか……!?」

「嘘ついてどうすんだよ」

さらっと言われて、思わず笑ってしまう。