完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

ゆっくりと、こちらを振り返る。

その表情は――

どこか、迷っているようにも見えた。

「昨日は……悪かった」

「……え」

思わず、声が漏れる。

「花音さんが作ってくれたものを……あんな形で断るつもりはなかった」

視線が、少しだけ逸れる。

「い、いえ……!私の方こそ……勝手に作ってしまって……」

「違う」

すぐに、遮られる。

「ただ……」

少しだけ眉を寄せる。

「あいつと一緒に、というのが……気に入らなかっただけで」

「……えっ」

迅さんの言葉と、繋がる。

「……あの男は、距離が近い」

ぼそっと、低く呟く。

「花音さんも……無防備すぎるんだよ」

「む、防備……!?」

思わず声が裏返る。

「……もう少し、自覚を持ってほしい」

真面目な顔で言われて、言葉に詰まる。

でも……その言い方が、少しだけ。

ほんの少しだけ、拗ねているようにも聞こえて。

「き、気を付けます……」

どう気を付けていいのか正直わからないけれど……

「……それで、花音さんの話というのは?」

要さんが視線を戻す。

そこで、私ははっとする。

「あっ……これ……!」

慌てて、ミートパイの紙袋を差し出した。