完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


「迅さん……?」

戸惑いながら名前を呼ぶと、いつものような笑顔を見せた。

「前にも申し上げましたが……要様は不器用なだけです」

ほんの少しだけ視線を逸らして。

「要様が、花音様からのものを迷惑に思うことはありません」

「……でも」

「ただ」

一瞬だけ、言葉を選ぶように間を置いた。

「……相沢と一緒に作った、という点が……気に入らなかったのでしょう」

「……え?」

意味が、すぐには理解できなかった。

「相沢さんと……?」

「はい」

さらりと言われる。

「要様は……ああ見えて独占欲が強い方なのかもしれません」

「……えっ」

思わず目を見開く。

あの要さんが……?

頭の中で、昨日のやり取りが繋がる。

『……相沢と?』

あの時の、空気。

確かにあの一言で、顔色が変わっていた。

「……じゃあ」

胸の奥が、じんわりと熱くなる。

「迷惑……じゃ、なかったんでしょうか……」

「はい、間違いないと思います」

迷いなく、頷かれる。

「むしろ――」

一瞬だけ、言葉を止めて。

「本来であれば……喜ばれるはずのものです」

その言葉に。

胸の奥に溜まっていたものが、少しずつほどけていく。