「お部屋のご案内と、使用人の紹介をさせていただきます」
私は頷き、席を立つ。
獅堂様と視線が一瞬だけ合う。
なぜか、少しだけ冷たい視線になったような。
……でもそれはきっと、気のせい。
別室では、数名の使用人が整列して待っていた。
峰山さんがその人たちの側に寄る。
「こちら花音様に料理指導をして頂きます、シェフの相沢です」
コックコートを着た若い男性がこちらを見て軽く会釈した。
「相沢奏太です」
ぶっきらぼうに名前だけ言うと、彼はそっぽを向いた。
機嫌が悪い……?
「続きまして、花音様の身の回りのお世話をして頂きます、高野です」
「……高野紬です。宜しくお願い致します」
この子は私のお世話係か……。
自分の事は、自分でできるのだけれど。
高野さんは相沢さんと違って、私の顔をじっくりとみてくる。
なんなんだろう……。
その後も一人一人、丁寧に紹介されるが、頭が追いつかない。
身近な使用人、指導していただく先生たちだけでも10人以上いる。
これは前途多難だ。まずは名前と顔から覚えないと!



