「その組織は……表向きは普通の企業ですが」
一瞬だけ、言葉を選ぶようにして。
「裏では……あまり綺麗とは言えないことをしている連中です」
「……っ」
思わず息を呑む。
「武器の流れや、人の売買に関わるような……」
「え……」
現実味のない言葉なのに、妙に生々しくて背筋が冷たくなる。
「当然、対立も起きます」
淡々とした言い方だけど、その内容は重い。
「二年前のあの日……まさに街は祭りで賑わっていました」
少しだけ視線を遠くに向ける。
「その衝突が表にまで溢れてしまい……まだ15歳だった要様も巻き込まれました」
「え……」
声が出ない。
「敷地内に突然大人数で潜入してきたのです」
「嘘……」
信じられない。
「相手は銃やナイフも持っていたのですが、要様は昔から武術も習われてたので前に出て立ち向かわれて……」
「そんな……」
あまりにも現実離れした話に、頭が追い付かない。
獅堂家でそんなことが起きていたなんて。
「使用人たちのことを一番に考え、守ってくださいました……」
「皆さん、無事だったのでしょうか!?」
「ええ、でもお恥ずかしいですが、私はしくじり腕をやられてしまい……その時に要様に助けていただいたのです」
「そうだったんですか……」
「そして……要様も私を守った際に腕を負傷されました」
胸が、強く鳴る。
「腕を……」
……あの夜。
花火の光の中で見た傷、少年の横顔。
頭の中で、何かが繋がりそうになる。



