完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「はい……お祭りのとき私が道に迷ってしまったんですが、そこでその少年に助けてもらったんです」

「それは……松の川のお祭りの日でしょうか……?」

「え、はい!そうです!」

やっぱりあの少年は……迅さん!?

身長が違うけど、あれから二年も経ったんだもの、成長しているはず。

「もしかして、あの少年は迅さんでは……」

「いえ……それは私ではありません……」

切なそうに微笑みながら答える。

「そう、ですか……」

「この傷の話を少ししてもよろしいでしょうか」

「え?……はい」

傷の事には触れてほしくなかったのかと思ったのに意外だった。

「私の傷も、二年前にできたものです」

「えっそうなんですか?」

迅さんが少し考えながら、静かに口を開く。

「少し……騒がしい出来事がありまして」

その言い方は、あまりにも曖昧で。

でも、逆にそれが――

簡単なものじゃなかったことを伝えてくる。

「……その時の出来事ですが」

迅さんが、静かに続ける。

「簡単に言えば……抗争です」

「抗争……?」

聞き慣れない言葉に、息が詰まる。

「ええ。獅堂家とある組織との衝突でした」

空気が、少し重くなる。