え……ここが獅堂家!?
獅堂家の屋敷は、想像以上だった。
門をくぐった瞬間から、別世界。
手入れの行き届いた庭。
威厳のある建物。
静かなのに、圧がある。
どこからどこまでが敷地内なのか、わからないくらい広い。
玄関前にはすでに数名の使用人が並び、
その中心に立っていたのは、獅堂様のお父様……?
「本日はお越しいただき、ありがとうございます」
獅堂様のお父様は低く頭を下げてくださった。
優しく微笑んでくださり、少し緊張の糸が解れる。
お母様は幼い頃亡くされたと聞いていたけど……。
どんな方だったんだろう。
こちらも両親揃って挨拶を交わす。
名家同士の、形式張ったやり取り。
獅堂様もいつも通り隣でにこやかに話している。
言葉は丁寧なのに、
どこか息苦しい。
――ここが、獅堂様の世界。
その後、応接室で改めて顔合わせが行われ、一通りの挨拶が終わった頃。
「花音様、こちらへどうぞ」
峰山さんが、私に声をかけた。



