完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~



「……ごめんなさいね」

志乃さんが、私の近くに来て静かに言う。

どうしてこの人が謝るの……?

「いえ……」

首を振るけど、うまく笑えない。

自分を拒絶されたみたいで……。

ショックでどうしたらいいかわからなかった。

「……もしよろしければ」

少しだけ遠慮がちに。

「そのケーキ、今から一緒に頂いてもいいかしら?」

「え……?」

「とても美味しそうだもの」

気を遣ってくれてるのかな……

優しく微笑まれて、余計に惨めになる。

「……はい」

でも私は小さく頷くことしか、できなかった。



志乃さんと一緒に部屋に戻ると、静かな空気に包まれた。

さっきの要さんの後姿を思い出すと、悲しくなる。

「素敵なお部屋ね」

「……そうですか?」

志乃さんが自分の部屋にいるなんて不思議な気分。

テーブルにケーキを置くと、紬ちゃんが紅茶を持ってきてくれた。

「突然お邪魔してごめんなさい、図々しかったわよね」

「いえ……こんな大きなケーキ、一人じゃ食べきれなかったのでちょうどよかったです」

「素敵なケーキなのに……」

志乃さんが、ケーキを見て小さく呟く。

「いえ……そんな……」

自信なんて、全然ない。

でも……要さんを思って一生懸命作ったのに。