完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

それから、厨房の忙しさも落ち着いた頃……

二人でケーキ作りが始まった。

生クリームを泡立てて、焼いたスポンジに塗って。

いちごを並べて――

一番簡単な作り方を教えてくれたけど……思ったよりも大変で。

でも。

「楽しい……」

気づけば、自然と笑っていた。


「まぁ……初めてにしては上出来じゃねーか?」

相沢さんが珍しく褒めてくれて嬉しくなる。

「本当ですか!?」

「ああ、要様も喜んでくれるんじゃねーの?」

その言葉に、少しだけ胸があたたかくなる。

「……喜んでくれると、いいな」


出来上がったケーキを大事に持って、要さんの部屋へ向かう。

その途中、応接間の扉が開いた。

「……あ」

思わず足が止まる。

中から出てきたのは、要さん。

「要さ……」

そう言いかけて喉が詰まった。

続いて出てきたのは志乃さんだったから。

……どうして?

モヤモヤと嫌な気持ちが胸に広がる。

「えっ花音さん!?」

志乃さんが私に気付いて驚く。

そしてその声に、要さんも私の方を見た。

二人が並んでいる姿……見たくなかったのに。

それだけで、胸の奥がちくっと痛む。