席に着こうとした時。
大我さんが机に伏せているのが見えた。
もう来てるんだ……
気付かれないようにそっと椅子に座ろうとした瞬間、顔を上げた。
思わず硬直してしまう。
「……暗いな」
「え……」
「記事のことだろ」
視線は鋭いのに、口元が少し微笑んでいて。
「……いえ」
思わずぶっきらぼうに返事をした。
「分かりやす」
否定したのに、くすっと笑われる。
……本当になんなの、この人。
「志乃以上の女になれるように、頑張んねーとな」
わざとらしく言われた言葉が、胸に刺さる。
悔しいのに言い返せない。
その通りだと思ってしまう自分がいる。
「……はい」
小さく答えた、その時だった。
「早乙女さん!」
前の席の女子生徒たちが、優雅に振り返る。
「差し支えなければ、お伺いしてもよろしいかしら」
柔らかい口調なのに、逃げ場がない。
「あー……なに?」
大我さんが少しめんどくさそうに頬杖をつく。
「海外からお越しになったと聞きましたけれど、アメリカのどちらにいらしたのですか?」
「ご家族のお仕事も、少し気になりますわ」
「こちらの学校に編入されるなんて、きっと由緒あるご家庭なのでは?」
一見丁寧で上品。



