完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

すると――

「……見ましたか」

不意に、要さんが口を開いた。

「え……?」

「今朝の新聞」

心臓が、ドクンと鳴る。

「……はい」

小さく頷くと。

要さんは前を向いたまま、淡々と続けた。

「気にする必要はありません」

「え……」

「すぐに収まります」

それだけ。

それだけ、だった。

「……でも」

思わず声が漏れる。

要さんが、少しだけこちらに視線を向けた。

「皆への説明は、俺がします」

静かで、落ち着いた声。

「花音さんは、いつも通りでいてください」

守ってくれてる、はずなのに。

どうしてだろう。

その言葉が、遠く感じる。

「……はい」

そう答えることしか、できなかった。


――志乃さんとはどうして二人でいたんですか?


本当に聞きたかった言葉は、喉の奥で消えた。


学校に着いた瞬間、予想していた通り空気が一気に変わった。


「見ました?今朝の新聞!」

「本当なのかしら……」

「朝比奈家の志乃様と……?」

ひそひそとした声が、あちこちから聞こえる。

やっぱり……。

胸が、きゅっと痛む。

「花音さん」

隣から要さんが声を掛けてくれた。

「大丈夫ですか?」

優しい声だったけど……

「はい……」

うまく、笑えたか分からない。