どうして、こんなに……苦しいんだろう。
「……旦那様たちも対応されてますので、ご心配されなくても大丈夫ですよ、人の噂も七十五日というじゃないですか」
紬ちゃんが少し微笑んで元気づけてくれた。
「うん……ありがとう」
記事に載ったことよりも、〝密会〟という文字にショックを受けてる自分がいる。
要さんは今大変なはずなのに。
こんなことばかり気にしている自分が、少しだけ嫌になる。
でも……どうしても、気になってしまう。
屋敷を出ると、いつもの黒い車が待っていた。
足が、少しだけ重い。
ドアを開けると。
「おはようございます」
すでに中には、要さんがいた。
いつも通りの、穏やかな表情。
まるで何事もなかったかのように。
「……おはようございます」
隣に座ると、車が静かに走り出す。
昨日の帰りも沈黙だったけど……
今朝も会話がなく、重い沈黙だった。
新聞のこと……知ってるはずなのに。
どうして、何も言わないの……?
聞きたいのに、聞くのが怖い。
ぎゅっと膝の上で手を握る。



