「……すみません」
小さくそう言うと。
「謝ってほしいわけじゃない。……でももうあいつに関わるな」
「え……」
「あいつは嘘しか言わない」
きっぱりと言い切られる。
大我さんを信じるなってこと……?
でも……
「……知りたいんです」
気づけば、口にしていた。
「要さんのこと」
足が、ぴたりと止まる。
一瞬、空気が止まった気がした。
けれど――
「そんなの……深いところまで知る必要ない」
振り返らないまま、そう言われる。
その声は、少しだけ遠く感じた。
握られた手は、こんなにもあたたかいのに。
言葉だけが冷たくて、突き放された気分だ。
俺の側にいればいいって言ってくれたのに……
どうして、そんな風に言うの?
ただ、繋がれた手だけが離れないまま……
私は、その背中についていくことしかできなかった。



