数日後――
今日は初めて私と両親が獅堂家に挨拶しに行く日。
屋敷の前に、見慣れない黒塗りの車が2台静かに止まった。
運転手が降り、続いて同じスーツ姿の男性が2人。
周囲をさっと見渡すその動きに、空気が一変する。
SP……?
思わず息を呑んだ、その時だった。
後部座席のドアが開き、先に降りてきたのは――獅堂様。
学校で見る姿と同じはずなのに、
なぜか今は、さらに遠い存在に見える。
「お迎えに参りました」
そう言って、獅堂様は丁寧に一礼する。
その後ろから、もう一人、すらりと高身長の男性が降りてきた。
肩まで伸びた髪を、一つに結んでいる。
「九条花音様ですね?私は要様にお仕えしております、峰山迅と申します。以後、お見知りおきを」
低く落ち着いた声。
年上だとすぐにわかる、大人の余裕。
切れ長の目が一瞬こちらを見て、すっと逸らされた。
……この人が。
獅堂様の、側近。
「初めまして……。本日は……よろしくお願いいたします」
声が、少しだけ震えた。



