完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


――放課後

帰ろうとした時、声をかけられた。

「九条さん」

担任の先生……の隣に、早乙女さんもいる。

嫌な予感しかない。

「はい、なんでしょう……」

「風紀委員として、早乙女さんに校内の案内をお願いできますか?」

「え……」

一瞬、言葉に詰まる。

「まだ校内に不慣れでしょうから」

「……わかりました」

先生の笑顔に断れるはずもなく、小さく頷いた。

どうしよう……

要さんにはさっき、『何かあったら言え』って言われていた。

でも……

要さんはすでに教室にはいない。

弓道の大会も近いし、心配かけたくないな。

大丈夫だよね……案内するだけだし

そう自分に言い聞かせる。

「じゃあ……行きましょうか」

先生と分かれ、私と早乙女さんだけになる。

早乙女さんはダラダラ私の後ろをついてきていた。

面倒くさいなら最初から断ってくれたらよかったのに……

「こちらは2年生の階になります」

「へぇ、ちゃんとやるんだな」

振り向くと、早乙女さんがポケットに手を入れたまま立っていた。

「風紀委員だから?」

「……はい。では、他も案内しますね」

できるだけ普通に振る舞う。

怖がっちゃダメ……

「図書室は――」

「いい」

即答で返された。

「そんな真面目にやんなくていい」

「え……?」

「案内なんて適当でいいから」

そう言って、少しだけ距離を詰めてくる。