完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


廊下に出ると、迅さんが隣にきた。

「……昨晩は、お疲れ様でした」

「い、いえ……!」

まださっきのことが気まずくて、うまく話せない。

すると、迅さんがふっと笑った。

「要様、花音様には甘いですね」

「え……?」

思わず顔を上げる。

「……そう、見えますか?」

「はい」

「確かに、最近優しい気が……」

「要様が羨ましいです」

え……?

要さんが羨ましい?

迅さんがそんなこと言うなんて珍しい。

その笑顔の奥に――

ほんの少しだけ、影が見えた気がした。







昨日の朝の騒ぎも1日経てば治まるかなと思っていたけど……

今日も要さんと送迎車から降りた時、周りの視線がすごかった。

それだけ獅堂家の結婚は衝撃的な出来事なんだろう。

朝、自分の席に着くと、隣の席の柏葉さんが小声で話しかけてきた。

「九条さん、獅堂様って二人きりの時もあのような感じなのですか?」

「えーっと……」

二人でいる時の要さんは違うけど……

口が悪いだなんて絶対に言えないし。