100回目の恋カレー


私と涼真はクラスが違うため下足ホールで別れると、三年二組の教室の扉を開ける。

「香恋おはよー」

夏帆(かほ)、おはよ」

駆け寄ってきたのは三上夏帆(みかみかほ)。彼女とは小学校からの友達で私の親友だ。

「ってどうしたの? なんかいつもと違うけど?」

その言葉に一気に脱力して情けない声が出る。

「夏帆〜どうしよう……ついに今日で恋カレー100回目になるの」

「あー、ガチか。あたしまで緊張するじゃん」

頼りなく夏帆の腕を掴んだ私の頭を、彼女が宥めるようにヨシヨシしてくれる。

「うぅ……恋カレーのおまじないの効果がついにわかるってことは……失恋記念日になるかもだよね」

「こら。今から弱気にならないの」 

「だって……」

「まぁ恋カレーのおまじない、今まで試したことある子知らないからさー。だって好きな人に百回カレー食べさせるってなかなか難しいよ。おまけに人参はハート型の人参じゃなきゃダメなんて難易度高すぎ」

そう。私は密かにあるおまじないを信じているのだ。それは初恋を拗らせている私が果帆から教えてもらった『恋カレー』のおまじない。