100回目の恋カレー

「あ、涼真。今日の夜、涼真のおじさんとおばさんとうちの親、焼き鳥屋でお隣飲み会だって」

「え、ガチで?」

「聞いてないの?」

「朝起きたら二人とも仕事行ってて聞いてねーし。大体さ、お隣飲み会って何なんだよなぁ?」

「だね、仲良いのはいいことだけど」

「まぁな。俺らは酒飲めねーから、毎度毎度お留守番だけどな」

うちの両親と涼真の両親は、高校時代からの親友でいつも四人一緒だったらしい。

それは社会人になっても結婚してからも変わらず、マイホームを建てる時には、互いに隣に建てようと約束をしていた両親達は約束通り隣同士に家を建てた。

そして偶然にも同じ年に子供を授かったことから私と涼真は生まれた時から一緒だった。

「てことは香恋が俺の飯、作ってくれんだ?」

「ま、まあね。何か食べたいのある?」

平然を装いながらも私の鼓動は早くなる。
だって、メニューはもう決まっているからだ。いや厳密に言えば、涼真からのリクエストがそのメニューであって欲しいと心から願っている。


「うーん……たまには唐揚げ……」

「え?! 唐揚げ?!」

やや上擦った声に涼真が、ぷはっと笑う。

「すげー驚き方」

「何よそれ……じゃあ唐揚げ、ね」

「嘘。カレーがいい」

「え?」

「俺、香恋のカレー好きだから」

無邪気な彼の笑顔にカッと全身が熱くなって心臓が大きくはねて痛い。

自分のことが好きだと言われたわけでもないのに。

「香恋、聞いてる?」

涼真のリクエストがカレーだったことに心からホッとしつつ、今度は緊張が走る。

だって涼真にカレーを作るのがついに──。

ごくんと喉を鳴らしてから私はなるべくそっけなく「了解」と答えた。