100回目の恋カレー

「恥ずい。早く返事しろよ」

涼真が照れくさそうに手のひらを首の後ろに回しながら、口を尖らせた。

もう夢でもおまじないでも何でもいい。
今言わなきゃ、多分一生この恋心は吐き出せない。

「私……涼真が好きっ」

涼真は一瞬目を見開くと、すぐに掌で口元を覆った。

そして一呼吸おいてから私をぎゅっと抱きしめた。

「え、あの……涼真……」

涼真のスウェットから石鹸の匂いがして、耳を澄ませば駆け足のような鼓動が聞こえてくる。

「……百回待ってやったんだからな、恋カレー」

「……えっと……どうして恋カレーのこと知ってるの?」

「夏帆から聞いた。好きな子から百回カレー作ってもらったら、その子が自分のこと好きになるって。だから俺、香恋に百回カレー作ってもらって俺の事好きになって貰えたらなって」

「あれ? 恋カレーはハート型の人参入りで好きな人に百回食べてもらったら、自分のこと好きになるって聞いたけど?」

私達は顔を見合わせてながら首を傾げる。

「え?」
「あれ?」

そして同時に夏帆の悪戯っ子のような顔を思い出す。

「あー、ガチか。夏帆にやられた」

「ほんと何で気づかなかったんだろ、私、恋カレーの話、夏帆からしか聞いたことない」

「俺も」

私達は抱き合ったまま暫く笑い合うと、初めての触れるだけのキスをした。