100回目の恋カレー

玄関扉を開ければ、黒のスウェット姿の涼真が濡れた髪のまま手を挙げた。

「おす。お邪魔しまーす、めっちゃいい匂いじゃん」

「え……ちょっと涼真、まだ髪濡れてんじゃん」

慌てて私がタオルを手渡すと、涼真がにんまり笑った。

「早く香恋のカレー食いたくて」

涼真の笑顔と言葉に心臓がどきんと跳ねた。

「俺、好きなんだよね」

「……え?」 

「香恋のカレー。たぶん世界で一番好きかもな」

いつもならこんな事言わない。「腹減ったー」とか言いながら椅子に腰掛け、カレーを黙々と食べると私とテレビゲームをして二十二時には家に帰っていく。

「……あっそ。別にいつものカレーだけど」

照れ隠しと戸惑いから可愛くない言葉が出て、また心の中で自己嫌悪だ。


「俺も手伝うわ」

涼真はタオルで濡れた髪を拭きながら、手際よくカレー皿にご飯をよそう。

私がその上からたっぷりと恋カレーをかければ涼真が目を輝かせた。


「やばっ。美味そう!」

目をキラキラとさせる涼真は子供みたいだ。私は自分のカレーもよそうと、涼真の真向かいに腰掛け二人一緒に手を合わせた。

「いただきますっ」
「いただきます」