100回目の恋カレー

夏帆の言葉がふいに頭を過ぎる。

(告白した方が早いのなんて……分かってる。でも……)

怖い。だって知っているから。
涼真が私に幼馴染以上の気持ちを抱いていないことを。

随分前に聞いたことがあった。好きな人ができたらどうするのかと。その時、涼真は迷わず好きな人ができたら告白したいと言っていた。

あれからどのくらいの時が流れただろうか。涼真はもちろん私に告白なんかしてくれない。つまり彼にとって私はただの幼馴染。

だからこそ最大限傷付かず、この恋を手放すには私には恋カレーのおまじないに頼る他なかった。

小さなため息をいくつも吐き出しながら、私は火を止めるとルーを割り入れて恋カレーを完成させた。

「心臓くるし……」

この恋の結末が自分の望むものである可能性は極めて低い。けど長年このおまじないを信じてきた身としてはほんの僅かだか期待もやっぱりしてしまう。

もし、もしも百回目の恋カレーを食べた涼真が私の想いに気づいて、私に恋してくれたらどんなにいいだろう。

そしてそろそろ来る頃かと時計を眺めたと同時に、インターホンが鳴った。