確かに地味かもしれないけれど、わたしにとっては大好きな浴衣なのに。
「……月島?」
境内の階段に座り込んで泣いていると、突然誰かに名前を呼ばれた。
振り向くと、そこにいたのは皇月先輩だった。
「大丈夫か? 具合でも悪くなった?」
心配そうに訊いてくれる先輩の優しさに、抑えようとしていた涙がさらに溢れて来た。
「………っ」
「何があった?」
話していいのかな。
“そんなことか”って呆れられないかな。
なんて考えていたら、
「余計なこと考えないで話してみな」
皇月先輩がそう言ってくれたから。
思い切ってさっき如月さん達に浴衣をバカにされたことを話すと、
「そんなくだらないこと言うヤツなんて気にするな」
先輩はそう言いながら笑った。
やっぱりわたしが気にし過ぎなのかな。
「……その浴衣、俺はいいと思うよ。月島に似合ってる」



