一瞬戸惑ったけど、このハンカチ…なんとなく見覚えがあるような…?
「これ、おまえのだから返すよ」
「…え…?」
わたし、先輩にハンカチなんて貸したことあった…?
それとも気づかないうちに落としてたのかな…?
でも、最近こんなハンカチ使ってないけど…。
不思議に思いながらもハンカチを受け取ると、端の方に黒いマジックで“つきしま みゆ”と名前が書かれていた。
だいぶ色褪せて薄くなっているけど、確かにわたしのハンカチだ。
「それ見てもまだ思い出さない?」
「え?」
思い出す?なにを?
「“僕なんかって言ったらダメだよ!”って言ってそのハンカチ俺に渡してきたこと」
「……?」
そんなこと…あった?
「やっぱり覚えてない、か」
「…ごめんなさい…」
一生懸命記憶の糸を手繰り寄せても、これと思える出来事が思い出せない。



