「美夢」
突然聞き覚えのある声で名前を呼ばれたと同時に、腕を掴まれた。
「……皇月先輩?」
どうして控室じゃなくてここに?
「撮影早く終わったから気になって来てみたんだ」
わたしの疑問を察したようにそう言った先輩。
わたしのことを気にしてくれたのは嬉しい…けど、今はひとりになりたい。
でも、そう思ったわたしの心を見透かしたかのように先輩が「ちょっと話あるから」とわたしの腕を掴んだまま歩き出した。
着いたのは皇月先輩の控室。
またさっきの如月さんとの会話を思い出して胸が痛む。
「今日、如月ってヤツと話した。なんか、オーディションの最終審査に残ったらしくて」
「………」
いきなり核心をついた話題で、返す言葉も見つからない。
「あいつ、美夢のこといじめてたヤツだよな?」
無言のまま頷くと、突然目の前にハンカチが差し出された。



