「⋯…まだです」
「あら、そうなの? 七星くん毎年ファンの子からたくさんチョコもらってるみたいよ」
「…そう、ですよね…」
やっぱりわたしなんかがチョコを渡しても、先輩にとっては迷惑かもしれない…。
なんてそんなネガティブなことを考えてしまったせいか、撮影中もうまくいかなくて。
「音夢ちゃん、大丈夫?もしかして体調悪い?」
「七星くんも凛ちゃんもいなくてひとりだからちょっと緊張しちゃったかな?」
久しぶりに何度もNGを出してしまって、スタッフさんにも心配をかけてしまった。
「――OKです、お疲れ様でした」
やっと撮影が終了した時には、ものすごい疲労感が全身を襲っていた。
本当はこのあと皇月先輩の楽屋に寄ってチョコを渡そうと思っていたんだけど。
こんな気持ちじゃ先輩に会えないし、今日はもう早く帰りたい…。
そう思いながら自分の控室へ戻ろうと足早にスタジオを出たその時。



