「ごめん。気持ちは嬉しいけど、受け取れない」
「どうしてあんな地味子がいいんですか!? わたしの方が―」
でも、声はハッキリと聞こえてきた。
やっぱりこの声は如月さんと…皇月先輩だ。
“地味子”って…きっとわたしのことだよね。
盗み聞きなんていけないとわかっていても気になってその場から動けない。
「あ、音夢ちゃんおはよう」
「お、おはようございます」
通りかかった撮影スタッフさんに声をかけられて、我に返ったわたしは慌てて自分の控室へ向かった。
「音夢ちゃんはもう七星くんにチョコ渡したの?」
片桐さんにメイクをしてもらいながらそう訊かれて、さっきのことを思い出した。
皇月先輩は如月さんのチョコを受け取らないでくれたみたいけど…。
でも、わたしのことをどう思っているのかちゃんと先輩から聞いたことないし。



